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●メディアと教育
平成12年後期履修
白鳥元雄(放送大学客員教授・聖徳大学教授)
高桑康雄(放送大学客員教授・江戸川大学教授)
(問3)校舎や教室などの物的環境のもつ人間形成への影響力(いわゆる「潜在的カリキュラム」)というものについて、経験をもとに考察せよ。(1080字以内)

 私が進学した県立高等学校は、藩校だった歴史をもつ学校で、古い建物が講堂や門として使われていた。また、校舎自体も昭和20年代の木造建築でいたるところがガタガタ鳴っていた。2年に進学したとき校舎が移転・新築されコンクリートとガラスの近代的な建物になった。背景もがらりと変わった。新しい校舎に移った華やいだ気分と裏腹に何かを失ったような気がした。そのときの私の気分を振り返るとき、いつも建物や環境が与える影響に思い至る。そして同時に自分が過ごした小学校の木造の校舎を思い出す。今では廃校になってしまったが残っていれば、そこには私が傷をつけた柱が残っているはずである。先生が修理した壁に思い出が刻まれているはずである。

 今のコンクリートでできた画一的な学校に接するにつけ、学校の物的環境のもつ雰囲気が知らず知らずに子どもの人間形成に働きかける影響力−−いわゆる「潜在的カリキュラム」の重要性をもっと考慮すべきだとなんとなく感じ続けてきた。そして今回、放送大学での「メディアと教育」の授業でそのことが示唆され、子どもの学習にとって決して見逃すことができない要素であると改めて実感している。

 今まではコンクリートと木材という建築素材についてこだわっていたが、この講義で、建築の思想が大切であるということを学んだ。つまり、「壁のない教室」や「オープン・スペース」などの特徴がある「オープン・スクール」構想の展開など、教育の在り方を前提にした学校建築の構想が必要だということである。この構想のもとに建物が設計され、素材も選ばれる。そしてそれは、画一的なものでなく、地域や学校現場の教育への取り組みの姿勢を反映したものであることが大切である。

 学校の物的環境を考える場合、建物に加えて周辺の環境、つまり建物をとりまく植栽や、学校の外を含めた風景にも注目すべきだと考える。校舎や校庭で過ごす子どもたちがどんな風景に囲まれているかをシミュレーションし、その影響を研究・考察することによる綿密な配慮と構想が必要である。近年、身近で自然に触れられる環境教育の場・地域の自然の回廊の一部、また地域との交流の場として「学校ビオトープ」構想が校庭などに反映される例が増えているが、さらに風景として果 たす役割の検討も必要だと思う。

(参考文献)
吉村彰「バリアのない教育現場」『中学校』98年2月号より
「子どもと学校」日本住宅会議・関東会議編『キッズプレース』90年6月号より
「みんなの学校へ−市民と学び・遊ぶ・志木市立宗岡三小」『東京新聞』99年10月24日号より
「学校ビオトープ」R埼玉県生態系保護協会『ナチュラルア』2000年3月号より


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